失われた町 / 三崎亜記
(集英社 /2006年発行)
「となり町戦争」でデビューした三崎さんの2作目長編。
「となり町戦争」は結構好きだったけれど、物語の設定の不安定さや矛盾や書かれていないことが多すぎて、足場が不安定なファンタジーという印象だった。でも世界観が好きだったし、淡々と描かれる登場人物たちも面白かった。しかし、今回は、この作家さんの足場の不安定さが目立ちすぎて、物語に乗れなかった。前作よりも壮大な話になり、登場人物も増え、視点も時系列も移り変わる。ファンタジー要素が増えた分、不安定になる。イマイチだったなあ。不安定な足場のまま、やたら感情的なエピソードが語られていって、置いてけぼりな感じがした。
小説の上手い下手って普段は分からないけれど(上手い人は、わざわざ上手いって意識せずに読ませてくれるから)、これはもう少し上手く書かれるべき話だったような気がする。三崎さんが他の人より下手だとかそういうわけなじゃなくて、この物語が、語るのにかなりの技術を要求する物語だったような気がする。でもその技術がなければ、もっと削ぎ落とされなければならなかったような気がする。
少々破綻してても、世界観がいいと、わたしは「となり町戦争」の感想を書いたけれど、これは許容できない破綻だったなあと思った。ううん、破綻ですらないか。破綻するほど積み上げることもできてなくて、何もかも中途半端。ごっこ遊びのような、用語だけがいろいろ出てくる。途中から、つきあっちゃいられない、もう勝手にやってくださいってなるほどに。小説雑誌に連載されていたというのも理由なんだろうか。一話読みきりっぽくしたせいなんだろうか。
30年に一度、突然、ひとつの町の人々が消滅する。そのメカニズムは分かっていない。分かるのは「町」と呼ばれる町の総合体のような意思があって、それが何らかの理由で消すための町を選び、その町の住人を洗脳し、消してしまうということだけ。消えた町は意思を持っていて、関わろうとするものや、町の消滅を悲しむものを取り込んでしまう。取り込まれた人間は「汚染」されて、記憶や視力を失ったりする。
こんな話。この消える町とは何かを知りたくて読みすすめると、最後まで何も解き明かされず、がっかりするので要注意。 |
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