パーク・ライフ /吉田修一
(文芸春秋 /2002年発行)
あちこちで名前を聞くので気になっていた作家。ついに読んでみたよ。単行本のタイトルにもなっている「パーク・ライフ」で第127回芥川賞受賞。でももう一個収録されている「flowers」の方が断然面白かった。
さらさら読めるし、世界観も好ましい。なんとなく文学風味もするし面白いといえば面白い。でもこの作者の感想は「うーん、いい人なんだけど。恋人にはちょっと考えられないわ」 って感じでした。なんかこうすべてがあと一歩。ユーモラスっぽいような、おしゃれっぽいような、心に響くような気がするような、独特の雰囲気があるような……気がするんだけどすべてがその一歩手前で留まってて達成されてない感じ。比喩もイマイチ。効いてないわ雰囲気ないわ。別に一緒にいてイヤじゃないんだけど、どこが嫌いって訳じゃないんだけど、でも恋の対象にはなりません、という感じ。いろいろ惜しいんだけどなあ。惜しい。惜しい…。どこまでいっても「○○風味」で本物にあと一歩届いていない。まあ芥川賞は取ってもいいんじゃないかと思った。でも、この○○風味の一歩手前で届いてなさが文学だと思ったら大間違いだわ。
もう一個の「flowers」も惜しい。面白そうな人物が出てきて、面白そうなことをしている、面白そうなことが起こりそうなのに、面白そうなままで終わってしまった。真夏の太陽にぐったりとやられた配送業者たちが会社のシャワー室で一斉にシャワーを浴びているそのシーンは、来るぞ来るぞと思ったのに、けっこういいところまでいったのに。……惜しい。なんでこんなに惜しいのか。わざとでしょうか。人物設定もやりっぱなしだし、何より物語の中で「僕」が何一つ侵襲されないのが不満だった。会話もなんかこう緊迫感がなく、面白そうなのにぴりっと引き締まらない。無駄な相槌で終わったりする。惜しいなあ。一体なんだろね。雰囲気を楽しむにはいいんじゃないかな。風味小説。雰囲気すら楽しめない小説の方が多いですから。楽しめるってことはすごいことだ。うんうん。。というわけで★5つ。
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