読書の記録

No.93 2005.4.22

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二百回忌 /笙野頼子

(新潮社 /1994年発行)


 幽霊オンパレードな作品集。二百回忌には条理など通用しない盛大な祭りが行われる。時間も歪む。死者も蘇る「二百回忌」。黴のような大地から沸き上がる漠然とした意志。それをめぐる子供時代の思い出話「大地の黴」。教室で粗相をしてしまったがそれを神聖化し美化しついに精霊になったと思い込んだ小学校時代の同級生の霊に取り憑かれる「アケボノノ帯」。夢か現か、思い出なのかデタラメなのか、透明な蛇、取り巻く方言、思い出す記憶のコラージュ「ふるえるふるさと」。の4編。
 ストーリーだけ説明すると、でたらめでハチャメチャに聞こえるが、彼女はすごく大真面目だ。その真面目さに引き込まれてどんどん読んでしまう。中盤は盛り上がるが、どの作品もしゅんという燃え尽きるようにそっと終わる。幽霊も不条理も彼女の筆にかかれば「体験談」となる。奇妙な世界を実体化する描写力がすごいと思った。
「二百回忌」で、第7回三島由紀夫賞受賞。

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