読書の記録

No.87 2005.3.4

←back 


漢方小説 /中島たい子

(集英社 /2005年発行)


 すばる新人賞のもう一つの受賞作。芥川候補になって落ちた作品。
 うまい。ストーリー展開、人物の作り方、文章。すべてがうまくて読ませる。ぱちぱち。ただもうそこに製品としてあります、といううまさ。ひっかかるところもないし、鼻につくところもない。人物もリアルで好感が持てるし、漢方で体を癒すという設定もあっさりしつこくなくて胃にもたれない。
 でもこの物足りなさはなに? 読んでてそわそわとかどぎまきとかしょぼーんとかはらはらとかひいいっとかならないのね。(ひでえ語彙だ)喜怒哀楽で言うと、物語の中では何やらいろいろ起こってそうなんだけど、読者としてはずっと「楽」で眺めている感じ。別に共感できないわけじゃないけど、ふうんそうなんだ、にこにこて感じ。これ何にたとえようとずっと考えてたのだけど。あれだ。アニメ版サザエさん。見てて別に退屈じゃないし、ときどきくすりってなってほのぼのするけど、でも見たからどうってことはないというか。
 この作品ね、ドラマとかにして役者が演じて魂吹き込んだら完成するんじゃないだろうか。小説として何か足りない。
 タイトルがイマイチだなあと思ってて、あでもこの小説自体が漢方薬のように五臓六腑に効くのかも!素敵なタイトルだとか思って読んでたけど、そんなことなかった。苦くもまずくも体によくもない。あったら食べるし食べ終わったら食べたことなんて何となく忘れてしまうキャンディのようだった。でも食べてる間は、それなりにおいしいんだけど。
 うまいんだよね。でも……ううん。+アルファを彼女はこれから身につけていくのでしょうか。彼女、他の小説とか読んでるのかなあ。とかいらんこと思ってみたり。この技術でばばーーんとすごいことして欲しいです。もしくは映像作家として活躍して欲しいです。ドラマのノベライズとかすごく向いてるんじゃないかなあ(っておい。失礼だろ)いやいやこれから化けますかどうか。



form amazon↓ 


←back    menu