読書の記録

No.85 2005.2.4

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ジャンとジュール /ルージャ・ラザロヴァ

(角川書店 /2001年発行)


 思春期にまだ到達していない少女のミリュエルは、ある日鏡の前で自分の成長した立派すぎる大きなおっぱいに途惑う。その瞬間、ミリュエルの「女」としての一歩は始まり、ジャンとジュールは自分がミリュエルのおっぱいとして生まれたことを自覚する。
 おっとりしたジュールと理論派なジャンは、ミリュエルのおっぱいである。彼らの声は誰にも聞こえないが彼らは互いを大切な存在として認識しあい、(当然のことながら)いつも一緒である。物語は、彼らの目を通して語られる。おっぱいに人格がある、だなんてユーモア小説かと思って読んでいたが、これはおっぱいの持ち主であるミリュエルが、不器用でもどかしい思春期からうんざりする通勤の毎日にくたびれる30代の女にいたるまでの成長話である。ミリュエルの恋、悩み、成長ぶりが等身大でありありと伝わってくるし、これらがジャンとジュールによって語られることで新鮮で温かい物語になっている。些細なことが本人にとっては大問題だったり、意地になってがんばったり、母親との軋轢があったり、とにかく共感できるくだりがたくさんあり、それが読んでいるわたしの中に素直に入ってくる。ジャンとジュールのかけあいも面白い。
 少女から女に成長する過程。子供から大人になっていく過程。ぜひぜひ、ミリュエルの同年代の女の子に読んでもらいたい物語。ところで、おっぱいが大きいのもいろいろ大変だ……と思いました!
(訳*松本百合子)

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