いつか記憶からこぼれおちるとしても / 江國香織
(朝日新聞社 /2002年発行)
感受性の強い10代の少女のそれぞれの物語を描いた短編集。話にちらっと出てきた登場人物が、また別の短編の主人公になっていたり、同じシチュエーションが視点を変えて登場したりと、淡く連作になっていて世界観がつながっている。高校生の頃を思い出した。高校生の女の子ってそれぞれ違っていて、同じ制服を着て同じグループで笑って同じ時間を共有しているようで、違う世界を見ている。その実感として持っている思いを物語という形にしてもらって、すごく気持のいい小説だった。それは、わたしにとってかけがえのない時間だった。二度と戻らない。戻れない。タイトルどおり、今はわたしの記憶からこぼれおちていた時間を拾い上げて、もう一度輝かせてくれた。
電車の中で、冷たい指をした女性の痴漢にあう菊子。無二の親友だったエミが少しずつ精神的に壊れていく様子を見守るしかない萌子。一緒に買い物をして友達のようなママを持つ柚の恋。鋭いようで、油断していて、もろいようで強い、少女時代。大人目線のゴマカシのない、鋭い短編集だった。面白かった。江國さんは、やっぱりすごい。
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