読書の記録

No.374 2010.4.17

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天然ブスと人口美人 どちらを選びますか? / 山中登志子

(光文社新書 /2009年発行)

 タイトルだけやたらセンセーショナルで中身があまりない光文社新書なのだけども、今回もタイトルは的外れだった。そもそもこのタイトルなら手に取らない。著者が容貌が変わってしまうアクロメガリーという病気を持っているという経歴に惹かれて読んでみた。

 整形して作った人口美人と、天然のブス(外見オンチ)のどちらがいいかと聞くと、男は悩んで答えないか、開き直って人口美人と答えるかで、ブスを選ぶ人はいない。そんな問いかけから始まるんだけど、容姿で悩む著者は整形は選ばなかったし、話の主流ではないみたい。前半は延々と外見オンチだとこんな傷つく体験をした、でもこんないいこともあったという話が続き、恋愛の話や、出会い系でひたすらいろんな人と会って、その人たちと有意義な会話をした話や(その動機がよく分からない…)何だかよく分からない語りが続いて、で、最後の章でようやく病気のことがカミングアウトされる。それまでは本の紹介にも著者の略歴にも、病気のことは触れられていない。

 何でこんな構成にしたんだろうな。最後に著者が書いてるとおり、脳腫瘍のせいで容貌が変わる病気でという話は重すぎて、病気の話をした途端に憐れまれて、別枠に置かれてしまうから、ブスや美人を同じ土俵で論じるためには隠しておく必要があったのだろうか。それとも、ブスなのは病気のせいなのよ、と最後にひっくり返したかったのだろうか。

 生まれ持った容姿がどうであれ、みんなその容姿に悩むのに、病気のせいで変わっていくとなれば、その葛藤はとても大きいものだと思う。本書で先に病気の話をしてから、そのことを受け入れる様子をつづってくれたのなら、もう少し前半も興味深く読めたのかなあと思う。

 ブスだ美人だという基準じゃなくて、手をかけておしゃれをしている、とか、いい表情をしている、とか、愛嬌があるとか、そういうところを純粋に見ることができたら理想なんだけど。病気なら別だよ、なんて思ってしまったわたしは、裏を返せば、病気じゃない人の容姿はブスだ美人だと無意識に安易にランク付けしているのだ、とはっとした。人をありのまま見る、ということは本当に難しい。払っても払ってもランク付けの意識は消えない。何度でもはっとしなくてはいけない。ランク付けをする人は自分もそのランクの中で苦しめられる。そのランク付けの価値観を手ばなすことができたら、本当に人をありのまま見ることができるようになったら、もっともっと自由になれるだろうなと思う。まだまだ、だ。



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