読書の記録

No.370 2010.4.10

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犬はいつも足元にいて / 大森兄弟

(河出書房新社 /2009年発行)

 兄弟で書いたという文藝賞受賞作。芥川賞候補にもなった。

 クラスで小さな目立たないグループに属していた僕は、グループの他の二人が不登校になったことでサダと二人きりで行動することになり、サダが粘着質に団結力を深めようと言い寄ってくることにいらいらする。毎朝の日課である犬の散歩にサダは現れるようになり、しつこくつきまとうようになる。

 いい意味で不気味な小説。登場人物たちは、どこにでもいる普通の人間だと思う。でも、僕の冷めた意地悪な目から語られると、誰もが不気味でぞっとするような人間になってしまう。そのことで、主人公自身の歪みが浮かび上がってくる。でも、丁寧に書かれているので荒唐無稽という感じはしない。僕の気持も行動もよく分かる。上手い人だなあと思った。

 兄弟で書いているというこの小説は、一文ずつ交互に書いたり相手が直したり混ぜこぜになって、出来上がったものはどちらがどの文を書いたのか分からないのだそうだ。それもまた不気味なことだなあと思う。漫画のように背景と人物を分けて共作というのなら分かるけれど、小説での共作は精神を混ぜていくようなそんな感じがする。自分とよく似たもう一人の目に常にさらされながら進んでいく物語。兄弟で書いているということが、他にない手触りを作っている面白い小説だと思った。また次の作品が出たら読んでみたい。



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