天駆ける皇子 / 藤ノ木陵
(講談社 /2010年発行)
「駒、玉のちりとなり」で講談社Birthから長編デビューした作者の2作目。1作目と同じ飛鳥時代を舞台にした物語。面白かった。歴史小説って、時代背景の説明を理解するのに苦労して、さらに政治的なあれこれに興味持てなくて今まで苦手で避けてたのだけど、なんかこれぐいぐい読ませられた。
大王の座を狙い続けるけれど届かない穴穂部王子が主人公。血のつながった兄弟たちとの争い、勢力争いをする豪族の思惑、大王になるか、なれないかで全か無かという選択肢しかない王族の悲しみ。そして、同時に進行していく一人の刀装工の物語。韓の国から技術者として連れられてきて、技術を磨いていくことでしか食べていけないし、自分の存在価値を見出せない。
それぞれの人物がそれぞれの立場で戦っていて、それが俯瞰した解説ではなく、当本人の目線になって感じることができる。文章に無駄がない。情景描写も、主人公の思考も、的確でうまい。なぞっていくのが心地良い文章だった。描写自体も細かくて、作業所の描写や、ガラスや彫りものの技術や、時代背景やらが、無理なく伝わってきて、面白かった。
歴史小説も面白いですね。まだ誰もとりあげてない面白い「史実」を見つけて、そこに新たな魂を吹き込めたら、そりゃわくわくする話になるよね。いつかわたしも書いてみたいな。その難しさも楽しさも味わってみたい。
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