八番筋カウンシル / 津村記久子
(朝日新聞出版 /2009年発行)
「アレグリアとは仕事はできない」が面白かったので、読んでみたのだけど、この作品はイマイチでした。何がしたいのか分からない小説になっていた気がします。まあ、何がしたいのか分からない主人公なのである意味しょうがないのだけど、主人公自身に衝動のようなものを感じられないし、しかも主人公は傍観者。傍観しがいのある出来事が展開されるのならいいけれど、あまりにも小さな世界観の人間関係が語られていく。
小さい世界なのが悪いわけじゃないし、傍観者なのが悪いわけじゃない。両方兼ねてるのが悪い。ローカルな人間関係のまっただなかで怒りを押し殺していた「アレグリア--」の主人公は、すごく面白かったのになあ。
念願の小説の新人賞を獲ったタケヤスは、仕事をやめて地元に帰ってくるが、商店街のうんざりするような狭い人間関係に巻き込まれていく。会社を辞めたけど、辞めたことを後悔してたり、ろくでもない父親がホームレスになってて再会したり、と、面白くなりそうな設定はあるのに何だか響かなかった。
文章はうまいし、人物も出来事もリアルだし、物語の魂は確かに存在してるんだけど、作者がそれをうまく語れていない感じ。ホカリを主人公にしたらいいのに。近所の噂話を聞いて、へえ、そういうこともあるんだね、と思って、また忘れてしまうような、そんな小説だった。残念。でもまだもう少し、追いかけてみたい作者。
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