読書の記録

No.350 2010.2.17

←back 


f植物園の巣穴 / 梨木香歩

(朝日新聞出版 /2009年発行)

 植物園で働く主人公は、勤務先の移動に伴ってf郷にやってきた。放置していた歯の痛みに堪えかねて、初めて行く歯医者に行くと、犬が受付をしている。あれは家内で、前世が犬だったものですから、忙しいと戻ってしまうのですと医師は何事もないように言う。主人公は少しずつ奇妙な世界に巻き込まれ、悪夢のような微笑ましいような、物語が始まっていく。

 夏目漱石の「夢十夜」を思わせるような、不可解だけど真に迫った夢の話。ちょっとシュールで不気味で、つげ義春の世界観にも似ている。梨木さんはこんなものも書くのだなあ、そして読者はちゃんとついてくるのだなあ、と感心した。

 彼女の語る夢の話は現実と同じくらい重みがある。夢の中の独特のルールで進んでいくけれども、その中では整合性が取れているというか。不思議に魅入られる。

amazon↓



←back   / TOP