あなたがほしい / 安達千夏
(集英社 /1999年発行)
「モルヒネ」が話題になった作者だけど、デビューは集英社の純文学の賞の「すばる新人賞」だったのか、と知って興味が沸いてデビュー作を読んでみました。
いきなり官能シーンから始まる。というか官能シーンの感情の動きやしぐさの描写がこの小説の読みどころなのかなと思いました。
主人公のカナは女性なのに、年下の親友の留美に欲望を感じている。愛していると告白して抱きしめたり愛を交わしたりしたいけれど、そんなことを言えば気持悪がられ、友情すら壊れてしまう、と悩んでいる。その悩みを年上の男性のセックスフレンドの小田に相談しながら、欲情は小田に処理してもらう。主人公が恋焦がれる留美は物語の中に回想シーンや手紙の文面でしか現れない。物語はひたすら小田とのセックスシーンと、主人公の堂々巡りの煩悶。ハウスメーカーの営業をしているという設定もあって、家や家族をめぐる考察も出てくるけれども。なんとなく中途半端。逆に言えば、これだけのことで一冊書いてしまったのだからすごいと言えなくもない…かなあ。女性の同性愛の葛藤なら、中山可穂ほど迫って欲しい。一人で考えてるだけで解決だなんて。相手にぶちあたるところを小説にして欲しかった。
というわけで、小説としてはイマイチなんだけども、でも何だか文章や雰囲気は好き。他の作品も読んでみようかなと思いました。
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