オニが来た / 大道珠貴
(光文社 /2007年発行)
「しょっぱいドライブ」で芥川賞取った人。昔買った小説宝石を何気なくぱらぱら読んでいて、なんじゃこの話は、と衝撃を受けたのがこの「オニが来た」でした。思わず全部読みたくなって本を探しました。
主人公は40代で初めて結婚できた元ヤンキーの冴えない女性。この設定だけでも結構衝撃なのだけど、結婚相手も衝撃的。優しいけれど冴えない太った男で、人生を見つめなおしたいからと言って会社を辞め、村に泊り込みで行うダイエット合宿に行ってしまう。その間は一人で待ってるのは寂しいだろうから、自分の実家に行って老いた親達の面倒を見ていてねと言い残して。音信不通になったあげく、好きなことは好きだけど結婚している状態に自信がないからといって離婚届を送りつけてきたり。やだよ、こんな男。でも、主人公はあっけらかんとしているし、義父母たちのいる田舎で自分の居場所を見出して心温まるようなちょっと意地悪のような絶妙な会話を繰り広げるし、こんな扱いを受けても旦那のことは愛しているし、旦那も悪気はないし。
携帯小説か、と思うくらい描写が少なく改行も多い文だけど、その短い言葉には魂が入っていて無駄がなくて強い。読みやすいけど読み応えがある。芯から明るい小説。でも、老いや死や人生や愛する人との意思疎通がうまくできないことなんかも、じっくりと書かれている。馬鹿騒ぎではなく、勇気づけられるほのぼのとした明るさ。なんだこの小説の世界観。この作者、ただのお姉ちゃんじゃないなあ…と思って経歴やらを調べたら、なるほど…と納得しました。
→すばる文学カフェのインタビュー
この作者面白い。もっといろいろ読んでみようと思いました。 |
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