読書の記録

No.333 2009.12.25

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夜間飛行 / サン・テグジュペリ

(PHP研究所 /2009年発行)

「星の王子さま」のサン・テグジュペリが飛行機乗りの経験を生かして書いた小説があるということは知っていたけれど、まさかこんなちゃんとした小説だとは思わなかった。勝手なイメージだけど、星の王子さまは持ち前の感性とセンスでぽろっと書かれてしまったような物語だと思っていた。でも、この「夜間飛行」を読んだら、彼は本当に優れた思想家で小説家で構成作家で言葉の使い手なんだなあ、と思った。

 危険の伴う夜間飛行を確固たる信念を持って指揮する国際郵便会社の社長、リヴィエール。パイロットの命が犠牲になったとしても、その事業を続けるべきなのか。丁寧に迷いと決意が描かれている。孤独な夜間飛行の描写が胸をしめつける。

 一度は夢中で読み終わった。そのあとは、ランダムにページを開いてシーンをひとつひとつ読んでいった。どの言葉も強く胸を打つ。厳格なリヴィエールは部下に取ってみれば容赦なさすぎる上司だろう。でも、彼の厳格さがないと部下は夜を恐れ続けるし、この壮大な事業を成功させることはできないし、人類は新たな一歩を踏み出せない。でも、リヴィエール自身も迷う。悲劇も起こる。それでも貫くべき信念がある。

 新訳だそうだ。旧訳を読んでいないけれど、わたしにはとても読みやすかった。訳:片木智年

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