散る。アウト / 盛田隆二
(毎日新聞 /2004年発行)
何だろう、このタイトルは。全くどんな話か検討もつかずに読み始めたのだけど、冒頭から引き込まれて夢中で読み終えてしまった。
先物取引で騙されてサラ金まみれになり、妻と子と別れて路上生活をすることになった耕平。中国人女性と偽装結婚するビジネスに雇われるが、新規開拓の事業に回されモンゴルに行くことになり、モンゴル人女性と結婚するが、その女性の実の父親はロシアマフィアで、父と敵対するマフィアに追われながら大陸を横断する。こんなふうにあらすじを書くと、荒唐無稽なロードムービーみたいなのだけど、このスケールの大きさなのに現実的に緻密に書かれていて、読んでいると波乱万丈の人生に巻き込まれてしまう。
出発点は、どこにでもいる勤め人。なのに気がついたら、こんなところまで来てしまった。その過程も不自然なところはなく、もしかしたら自分にも起こり得るかもと思ってしまう。登場人物たちも地に足着いているというか、ちゃんとそれぞれが一人分の人生の重みを背負っているというか。作者の都合のためだけに捏造された人物やストーリーが全くなく、ああこれぞ小説だなあと思った。面白かった。 |
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