光ってみえるもの、あれは / 川上弘美
(中央公論新社 /2003年発行)
読売新聞夕刊2001年〜02年に掲載された連作短編集。
若い未婚の母としっかりものの祖母に育てられた高校生の「僕」の一人称で、物語は進んでいく。川上弘美は、いつでも小説の仕上げが丁寧で、何を書いていても安心して読めるのだけど、この物語の登場人物たちはとりわけいきいきとしていて、いとおしかった。今まで読んだどの物語よりも作者から愛情されている気がした。
家族というものの居心地のよさも悪さも、主人公の言葉で語られる。個性的な登場人物が多かったけれども、僕の目から見たらそれが日常で、淡々と時には意地悪く、時には愛情深く語られていく。心地よく、現実と同じようにほろ苦い。
各短編のタイトルは、古今東西いろいろな作者の詩の題から取ったもの(「夜になると鮭は」で、あれ?と思って気がついた)。題だけでなく、その詩が物語のどこかで必ず登場していて、ちょっとしたいろどりを添えているのが面白かった。本の表題は川上さんオリジナルなのかな。いいタイトルだなあ。うまいなあ。
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