古道具 中野商店 / 川上弘美
(新潮社 /2005年発行)
骨董品屋でもなくアンティークショップでもない、古道具屋。そこそこ古い、そこそこ安いものを売るというゆるい店。そこで働く「わたし」と、中野商店をとりまく個性的だけどゆるい人たちとのあれこれをつらねた連作短編集。
主人公の「わたし」は20代前半くらい? 同じく中野商店で働いているタケオになんとなく惹かれて、なんとなく恋をするのだけど、なんとなくうまくいったようないかなくなったような感じで、結局中野商店も新規リニューアルすることになり、メンバーは解散する。煮えきれない関係の、ああもう、という感じ、いー!ってなる感じが淡々と書かれていた。川上弘美さんは、細かい心の動きや人間観察を丹念に小説に織り交ぜる。小さくさりげなく書かれているから、まるで主人公の目と同化してしまったようで、どきりとする。小説のよさがよく出ていて、でも気負わずだらだらと読める作品でした。
女癖の悪い店主、中野さん。中野さんの姉で自称アーティストのマサヨさん。無口で無愛想でどこかずれているタケオ。彼らのところにやってくる、地味だけどちょっと変わったお客さん。まるで主人公と一緒に中野商店で店番をしているような気分で、楽しかった。
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