星へ落ちる / 金原ひとみ
(集英社 /2007年発行)
「蛇にピアス」ですばる文学賞受賞しデビュー、そのまま最年少芥川賞を受賞して時の人になった金原さんですが、彼女はますますいい作家になってきたなあとしみじみ感慨深い今日この頃です。…って、わたしは相変わらず何様かと。何だかデビューの瞬間をリアルタイムで文芸誌で目撃した作家さんって、思い入れがあるんですよね。自分が育てたわけでも何でもないのに、よく成長したなあ、と。
2007年にいくつかの雑誌に掲載された短編をまとめた一冊。短編といっても、一人の男に激しく恋する二人の人間のそれぞれの視点からの短編で、本自体は一冊の長編のように楽しめる。主人公の「私」は、好きになった相手が男の恋人と一緒に住んでいることに激しく嫉妬し、悩み、彼なしでは生きていけないと思いつめるが、相手の負担にならないよう必死で重い気持ちを抑えつづける。別の短編では、その男の恋人が主人公。彼は、顔も知らない恋人の浮気相手の女に嫉妬し、抑えられない思いを恋人にぶつけてしまい、離れていく恋人を引きとめようとして自殺をすると言い続ける。
狂気、物狂おしいどうしようもなさ、自己嫌悪、そういうものが洗練された文章からびりびり伝わってくる。そう、すごく洗練されてる。デビューのときの尖って痛々しい感性はそのままで、ナルシシズムに流れることもなく、傲慢になって甘えることもなく、技術と抑制が加わって、洗練された。
読み終わって金原ひとみすごいなーと身悶えた。彼女しか書けないものを書いている。唯一無二の作家になっている。彼女しか書けないもの、それが好きか嫌いかは読者の好みで分かれるかもしれない。
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