女神記 / 桐野夏生
(角川書店 /平成20年発行)
書き下ろし長編。不思議なタイトルだけど、タイトルどおりの話だった。
沖縄よりもっと遠い南の東端の小さな島。時代は昔。神が世界を支配し、巫女が力を持ち、島の人たちは厳しい因習に縛られて暮らしている。少女ナミマは、代々巫女を輩出する家柄。しかし、巫女には、表舞台に立って島の全権を握り子を成す役である光の巫女と、死体を納める洞窟に一人で暮らし死者の魂を沈める闇の巫女のは二種類があった。ナミマの姉は光の巫女に、ナミマは闇の巫女になる。ある事件で恨みを残して死んでしまったナミマは黄泉の国に送られ、そこで一日千人の死を決める女神イザナミに仕えることになる。
全編、ナミマによる、ですますの訴え口調で語られる。島の暮らしっぷりはなるほど、と思うのだけど、ナミマやイザナミのキャラが好きかって言われたら好きではないし、面白い話かって言われたらうーんってなるんだけど、でも読んでしまった。桐野さんが書いたら、わたしはどんなテーマでも読んでしまえそうな気がする。
女神であるがゆえに、火の神を産んだときに苦しんで死んだイザナミ。最愛の夫イザナキが黄泉の国に迎えにきたのに、醜くなってしまった姿を見られ、おまけに離縁された恨み。女であること、恨みとは何か、神とは、人とは何か、闇と光、対になるもの、個人と組織。桐野さんの書きたいことは、充分に伝わってくる。日頃は触れない感情だったから、読んだ後しんとした。また彼女の書いたものを読みたいと思った。 |
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