読書の記録

No.308 2009.6.2

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しあわせのねだん / 角田光代

(晶文社 /2005年発行)※2009年に新潮社から文庫化

「昼飯977円」「Suicaカード5000円、定期入れ4500円」…のように題された「しあわせのねだん」にまつわるエッセイ。角田さんというと、朝9時から17時まで時間を決めてサラリーマンのようにせっせと書いている真面目な作家というイメージだったのだけど、このエッセイを読んだら脱力しまくってしまう。何てダメ人間なんだ…!とにやにや笑いながら読んでしまった。しかし、自虐ネタを嫌味なく面白おかしくあっけらかんと読ませるのは技だよなあ。ああ、もう、やられた…!と思ってしまったエッセイ集でした。

  作家と言えば夜更かしして執筆して、昼過ぎに起きてというイメージが強い。角田さんも昔はそうだったらしい。でも、今のように勤め人のような生活サイクルになったのはサラリーマンと付き合ったときに会う時間を作るために生活を合わせたのが、別れたあとも癖になって残っているからなんだそうだ。…そうだったのか。
 以前、他の雑誌の対談で執筆専用に借りてる部屋には執筆に使う以外のものが何もなくて缶詰だから否応なく書いてしまうと話してたのを読んで、うおおお…すごい…と思ってたんだけど、このエッセイによると、執筆しながら今日の昼飯は何を食べようということを延々考えていて、昼飯食べたら食べたで、夕飯何にしようと延々考えている、らしい。

…素敵すぎる、そのダメっぷり…! まあ実際は、何を考えてようが注文にあったクオリティの作品を生み出し続けている角田さんは、全然ダメじゃないんですけどね。

 くすりと笑えて脱力して、じわじわ元気になるエッセイ集でした。


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