モモ /ミヒャエル・エンデ
(岩波書店 /1976年発行)
児童文学の棚から、ふいに呼ばれた気がして、久しぶりに手に取った。子供のときに読んで面白かった、という記憶はずっとあったんだけど、改めて読んでみると文章やエピソードの隅々に発見がいっぱいで、こんなに面白かったっけ、と驚きながら読み終わりました。
今は廃墟となった劇場に住み着いた一人の女の子モモ。髪はもじゃもじゃで、着ている服は拾った男物のだぶだぶな上着で、孤児院から逃げ出してきたから親はいない。
彼女が黒い瞳でじっと人の話を聞くだけで、相手にはいいアイデアが浮かんで解決策を思いつく。喧嘩していた二人も和解する。子供達も独創的な遊びを思いつく。
しかし、あるとき、どこから現れたのか分からない灰色の男達が町をうろうろするようになり、時間を貯金したら大量の利子がついて将来は莫大な財産を持てるという彼らの言葉に騙されて、時間を節約するためにせかせかと忙しなく働き、心の余裕をなくしてしまう人間が増えてくる。
この小説は、スケールの大きなファンタジーでもあるし、現実を風刺した面白い読物でもあるし、美しくて示唆的な詩に満ちてもいる。どんどんストーリーを追いかけたくなるし、出てくる登場人物をじっくり愛したくもなるし、物語に示唆されていることと今の現実とを見比べてゆっくり考えたくもなる。大人になってから読むとまた違ったものがたくさん見えてきた。なんて贅沢な物語なのだろう、と思った。
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