読書の記録

No.301 2009.4.16

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冥王星パーティー
 /平山瑞穂

(新潮社 /2007年発行)

 日本ファンタジー大賞で「ラス・マンチャス通信」でデビュー。独特の世界観が気になっている作家です。「ラス・マンチャス通信」も、この作品もそうだけど、小説(いわゆる一般的に流通してこれが小説だとわたしが思っているもの)としては、未完成な未成熟なものに感じる。破綻しそうだし、回収しきれていないエピソードだらけで消化不良だし、もう少し練られてもいいのでは?という部分がいっぱいある。でも、惹かれる。ナマモノの手触りを持って、既成の物語の枠に着地しない、思い通りにならない感が気になってしまう。

 彼(そう、男性なのです。ときどき本屋で間違えられて女性作家の欄に並べられているけれど)の作品には静かで聡明で魅力的なのに内面に破滅を抱えている女性が登場する。そのキャラクターが他では見ない手触りで、とても気になる。

 冥王星パーティーというタイトルが敷居が高かったけれど、中身は現代の日本の話だった。中学のときに好きだった女の子の名前をネットで検索したら、自分のヌードをさらしたサイトを運営していた、という冒頭で物語はスタートする。女の子の視点で中学時代の思い出が語られ、男の方の視点で現在が語られ、やがて二人は会合する。ストーリーは目新しいわけではないけれど、シーンの書き方に独特の手触りがある。不思議だ。うまい、とかすごいとかじゃなくて、万人に薦める感じじゃないけど、雰囲気が好きな人ははまるかも、という作家です。わたしは好き。





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