最後の家族 /村上龍
(幻冬舎 /2001年発行)
引きこもりの20代前半の息子と、クリニックや引きこもりの支援団体で勉強して息子への理解を示すようになった母、家族への愛情はあるが紋切り型の愛情表現しか出来ない会社一筋の父、兄をそっと見守りつつ、自分の進路に悩む妹。家族四人の視点から一つの出来事を順番に語っていく形式の小説。ドラマとしては面白かった。うまかったし、ストーリーも面白かったし、登場人物も感情移入できた。結末も清清しかった。
ただ、そんなに簡単にみんなが分かり合えてよかったんだろうか、という物足りなさが残った。すごく模範解答を見せられた違和感。たとえはこの違和感は「五体不満足」を読んだときや「介護入門」を読んだときにも感じた。面白かった、いいもの読んだ、感動した。でも、こんなふうには出来ないよ、という手の届かない感じ。
それが欠点なのか長所なのか分からない。ただ、好みで言えば、もっともっとどうしようもない部分にまで切り込んで欲しかったなあと思った。
とはいえ、やっぱり村上龍はすごい作家だと思う。彼は調べたことや、考え抜いた主張を、個の視点まで落として語らせることができる。だから、お説教にならない。村上龍の書くものは、小説らしい小説だと思う。
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