読書の記録

No.288 2008.9.28

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バースデイ・ストーリーズ
 /村上春樹・編訳

(中央公論社 /2002年発行)

 村上春樹が選んで訳した、誕生日にまつわるいろいろな作家の短編アンソロジー。選別も翻訳も彼が全部やっていて、秀逸な短編が集まっている。活きのいい現在活躍中の海の向こうの作家の短編ばかりで、英語で小説を読む習慣などない(というか、読めない)わたしは、ああ今こんな小説がアメリカの新聞に載ってるんだ、なんて考えただけでわくわくした。カーヴァー以外は知らない名前ばかり。でもどの短編もそれぞれに面白かった。

 誕生日という一つのテーマを中心に据えているから、それぞれの個性が際立って見える。小説ってこんなにいろいろなんだな、と風穴を開けられたような気分になった。個性豊かなのに、全て村上春樹が訳したことで程よい統一感があって読みやすい。もちろん、全部が春樹節になってるということは決してなくて、物語として世界を邪魔しない滑らかな訳は、やっぱり小説家ならではだなあと思う。

 最後に書き下ろしの春樹自身による誕生日の短編がある。何だかおまけのデザートみたいでおいしかったです。

 この本の装丁もチョコレートみたいで素敵だ。暗い話も混じってるし、ちょっとひねったような短編が多いので、オチとか教訓とか泣き所がないと楽しめないような読者には向かないので、誕生日プレゼントに、と考える場合はちょっと注意が必要かも。自分へのプレゼントに、なんて素敵かもね。





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