読書の記録

No.282 2008.7.29

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建てて、いい?
 /中島たい子

(講談社 /2007年発行)

 放送作家を経て脚本家に。そして「漢方小説」ですばる文学賞からデビューした方。この年のすばる文学賞は、わたし応募してて落ちたので、気になる作家さんです。

「漢方小説」と、その次の作品「そろそろくる」もそうだったけど、脚本家らしい軽妙な会話やテンポのいいストーリー展開が特徴。文章や出てくる人物は好印象で楽しく読める。途中で何度も笑いました。でも、前の二作と同様、小説としては少々物足りないです。前も書いたけれど、女性誌の「○○特集」の小説版みたい。一作目は「あなたのからだの不調は漢方で治るかもしれない。漢方特集。体験談付き」みたいな。二作目は、「理由の分からない苛々、それってPMS?」みたいな。で、三作目は「あなたも家を建てられる!特集」みたいな感じでした。

 現状に違和感を抱いている30歳くらいの女性主人公が、恋人もいないのに自分一人用の家を建てることを思い立つ。そして家を建てるとはどういうことかを浅く広く紹介しながら、かっこいい男に恋愛未満の感情を抱きながら、計画のめどがついて、ようしやるぞーと前向きになる話。それなりに面白いんだけどなあ。雑誌の「家を建てるとは特集」ならこれでいいんだけど、せっかく文字をたくさん綴れる小説なんだから、もっと主人公の内面にスポットをあてて掘り下げてほしいなあと思いました。家を建てるという目のつけどころはいいんだけど。ずっとこんな作風なのかなあ。変わらないかなあ。変わってないかを確認するために、たぶんまた次が出たら読むと思います。





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