読書の記録

No.276 2008.7.11

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(世界記録)
 /横田創

(講談社 /2000年発行)

 2000年にこの作品で群像新人賞を獲ってデビューした作家さんです。

 カッコ付きのタイトルが示すように、一癖ある小説。横田創と署名された「労働者に(((())))の花束を」編と、有原悦子と署名された「映画の字幕がよく見えるところ」編が交互にくり返される。引用文もふんだんに取り入れられ、そもそも有原悦子って誰よ、という感じの有原さんは横田さんのホームページを見てそれをもとにこの小説を書き上げて、横田さんの名前で新人賞に投稿した、という設定らしい。

 形式は、実験的な思想小説のように見える。だけど、読んでみれば案外読者を意識した親切な文章だ。派遣の配膳人に登録して、レストランの洗い場を巡りながら、プロフェッショナルなこだわりと技術を持って皿洗いをする男や、外の世界と対峙するためにあらかじめ会話や出来事を想定して何パターンもの脚本を作るという女など、何だか気になる魅力的な登場人物が出てくる。変わった小説を作ってやったぜ、みたいな厭らしさはなく、とても誠実に小説である。このカッコ付きのタイトルも、四つもカッコが付いた小タイトルも、二人の作者が交互に語るという謎も、冒頭に投げかけられたテーマも、ひととおりちゃんと説明して回収し終わっていた。そんなとこも、読者に優しい。独りよがりではない感じ。面白かったです。  





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