読書の記録

No.272 2008.6.10

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木洩れ日に泳ぐ魚
 /恩田陸

(中央公論社 /2007年発行)

「夜のピクニック」がすごくよかった恩田陸のほかの作品を読む。「木漏れ日に泳ぐ魚」。謎をえさに読者をひっぱっていくミステリ形式で、でも物語の焦点は謎ではなく、それによって揺れ動く登場人物たちの心に当てている、というパターンが夜のピクニックと一緒。きょうだいネタも一緒。こっちの方が後の作品なので、当たった路線でもう一本…みたいな感じが拭えないんだけども…。でもまあいいや。面白かったです。

 しかしこの人は、純文学と言っても通用するくらい雰囲気のある文章を書く人なんだけど、一文書くごとに改行してるんですよね。まあ読みやすいけどさ。ページいくらで原稿料発生するんだったら、これいいなあ。ときどき出てくる紋切り型の定型句は、これはもう読者に「いわゆるあれですよ」と記号的に想像させるための、両者省エネ地球に優しいエンタメテクニックなんだろうなあ。と、思いつつ、やっぱりこういう文章見るとがっかりしちゃう。
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(引用)

容姿も、人柄も、誰もが認める好青年。聡明で温厚な上に、リーダーシップも包容力も持ち合わせ、話し上手で年配の人間にも可愛がられ、育ちの良さが滲み出ている男。一流企業に勤め、社内でも将来の幹部と期待されている男。彼とつきあっていると言うと、女の子たちは誰もが羨んだ。
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 ま、これだけ定型句で描写するのもある意味面白いかもしれない。他の文章はそんなことないのにときどき出てくるのが謎です。男のつまらなさを強調するためにわざとやったとか。深読みしすぎか。

 でもするする読めて、先が気になって、途中もしらけることなく、人間もよく書けてて…と、エンタテイメントとしては申し分ないです。また他の作品も読んでみようっと。





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