読書の記録

No.262 2008.2.28

←back 


雨の塔 /宮木あや子

(集英社 /2007年発行)

 R-18文学賞受賞でデビューした宮木さん、「花宵道中」に続いて二冊目の著作です。花宵は花魁ものだったけれど、こちらは現代もの。現代といってもどこか特殊な世界観で隔離された全寮制の学校が舞台。そこは財界の大物の妾の子や、有名人の子、どこか訳ありの金持ちの女の子たちが送られる場所。何一つ不自由はないけれど、ニュースのような外界の情報は遮断され、今の環境に疑問を抱かないよう甘いお菓子と緩やかな時間に囲まれて過ごす生活。花魁のような体を張る哀しさのようなものはないけれど、この夢のように華やかだけど儚い閉鎖的な世界は、花宵道中に通じるものがある。この世界を作り上げた時点で、もう勝ちだと思いました。

 四人の美しい少女が最初は淡く、そして次第に濃密に絡み合っていく。姿の描写なしで、行動や発言だけでは誰が誰だか区別がつかないのが難と言えば難だけど、それもこれもこの幽閉された世界が少女たちの個性をぼやかし影のような存在にしてしまうのかと思えば納得で…というかあれですね、わたしこの世界好きになっちゃったから、批判とかできないやー。好きだからいいやーみたいな。

 読む人を選ぶかな。物足りなさを感じる人もいるかもしれない。でもわたしはこの世界を見守っていくことがとても心地よかった。この表紙に惹かれた人は、きっと満足するんじゃないかな。あ、エロ期待したら満足しないと思うけれども。




 ←back    menu