うさぎパン /瀧羽麻子
(メディア・ファクトリー /2007年発行)
第2回ダ・ヴィンチ文学大賞受賞作。第1回のよりは面白かった。でもまた高校生の女の子の話なのなー。こういうのが好きなのね、編集部は。実母が三歳のときに病死して、今は再婚相手のミドリさんと暮らす主人公。父親は仕事でロンドンにいるから二人暮らし。大学生の家庭教師、美和ちゃん。パン好き同志で意気投合したクラスメイトの富田くん。登場人物は主人公も含めて、とてもいい味を出している。みんな主人公に優しく心地よく物語は進んでいく。世界も暖かく、でも甘すぎず、心地よい。途中ではっとさせられるような展開もあって、どんどん読んで、ああ面白かったと読み終える…のだけれども、はて、果たしてこれでいいのか? 現実はこんなに甘くないでしょう。
ミドリさんは実母が生きていた頃からの父親の愛人。なのにミドリさんと母はいがみあうことなく仲良しで…。父親が全く不在の物語。父親が、というよりは父親の犯した浮気という罪をなかったことにして仲良しで完全な家族を形成し、優しく温かい世界に包まれて満足している主人公のこの物語は、少しだけ気持ちが悪い。でもまあ、第1回の気持ち悪さよりは全然ましだけども。
よくも悪くもおとぎ話だった…なんて意地悪なコメントですんません。文章は好き。世界観も好き。ただ、幸せな人しか読めない作品を書いて欲しくない。次作に期待したい作者です。
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