読書の記録

No.248 2007.12.15

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ひとり日和 /青山七恵

(河出書房新社 /2007年発行)

 デビュー2作目で芥川賞受賞の快挙を成し遂げた青山さんです。彼女がデビューしたとき、同時に14歳の子がデビューしたもんだから(「平成マシンガンズ」三並夏)そちらばかりが話題になって不憫じゃのう、この子も24歳で十分若いのにとか思ってたら、芥川賞ですからね。すごい。

 しかし、デビュー作をちらっと読んであまり印象に残らなかったので面白くないだろうと決めつけて読んでませんでした。すんません。友達に案外面白いと薦められて、なんですとー!それは読んでみなければ、と速攻読んでしまいました。気になったテーマだったし。いや、案外面白かったです。何だろうね、彼氏に言っても理解してもらえなくてうっとおしがられるような細かな鬱屈が、丁寧に丁寧に書かれている気がしました。なので、彼女のうだうだをうっとおしいと思う男子には面白くない作品であること保証します!

 ああ、「文藝」(河出書房の文芸雑誌)らしいなあという切り口。惚れた腫れたじゃない、利害のない関係を、大した事件が何も起こらないストーリーで、意地悪く独白していく。80年代の小説みたいに、ドラッグやってたりセックス三昧だったりしない、平凡な普通のどちらかといえばちょっとだけ落ちこぼれ系の主人公。ストーリーも、90年代の小説みたいに死んだり泣いたり不思議だったり特別だったりするわけでもない、何も起こらない小説。何だか、綿矢さんが、「インストール」でデビューして「蹴りたい背中」で芥川賞取ったのと同じやりかたで導いてまとめていった感じがする。編集者のアドバイスとか誘導がどのくらい入ってるか分からないけど、河出っぽいなあと思う。同じ河出からデビューの「ヘンリエッタ」とかもこんな感じだし。 主人公がほろりと漏らす意地悪さにどきりとする。このテーマでやるべきことをきっちり高い完成度でやり遂げた小説だと思った。

 でも小説の完成度は認めるけど、やっぱりもっと大きなテーマを読みたい。これは好みの問題かもしれないけどね。一人暮らしの婆さんとニートもどき(一応バイトで働いてるけど家賃とか食費とか払ってないし)の心の交流というミニマムなテーマはよく書けてて、読んでていろいろはっとされられた。でもそれだけじゃあ、やっぱりつまらないな。彼女は次は何を書くんだろうな。楽しみですね。文章も好きです。ぽつん、ぽつんとして、なかなかうまいです。




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