読書の記録

No.245 2007.11.12

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夜の公園 /川上弘美

(中央公論新社 /2006年発行)

 雑誌「中央公論」に連載されていた連続短編集。登場人物のそれぞれの視点で短編を綴っていって、最終的には一つの物語になっていく。

 主婦リリは夫に内緒でベッドを抜け出し、夜の公園を散歩するのが日課。夜の公園にはいろいろな人たちがいる。ぐるぐると自転車で走り続ける若い男の子の背中をぼんやりと眺めるのも恒例になっている。ある日、その男の子から好きだと言われてそういう関係になる。

 うはあ、あらすじ書いたら恥ずかしい。大人の少女漫画という感じのあらすじですが。でも、川上さんが書けば恥ずかしくないんだなあ。主人公の女たちは35、6歳だろうか。それにしては頼りなくて可愛らしくて小さな女の子みたいだし。あっさり若い男の子から好きになってもらえるし。セックスのシーンが多いし。なんかもう、こういうの中央公論の読者が読んだら気持ちがいいだろうなあという思いがどうしても頭から離れなくてこそばゆかった。実際、わたしも妙齢女子として、気持ちがよくて、どんどん読んでしまったんだけど、そんな自分にちょっと嫌悪感というか、妙な居心地の悪さがあってしまいました。

 でもラストは川上さんらしい落とし前のつけ方をしていたと思う。全員が浮気や不倫の罰をくらったかのようなラスト。まあでもどうかなあ。どうかなあ。全員不幸にならなくてもいいのに。

 なんてわたしの余計な戯言は無視して読んでください。面白かったですよ。

 それにしても角田さんにしろ川上さんにしろ、純文学雑誌でも大衆小説雑誌でもどちらでも書いてる人たちは、雑誌によって物語のスポットの当て方を変えていて、雑誌にふさわしいものを書いている。すごいなあと思う。でもなんだろ、もうちょっと貫いてもいいのに、とも思う。これしか書けないんですという感じで。ジャンルなんてあとからついて来いくらいの感じで。読者に合わせるんじゃなくて、読者に新しい世界を見せてやるんだなんて感じで。彼女たちなら出来ると思うんだけどな。




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