読書の記録

No.244 2007.11.3

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バカの壁 /養老孟司

(新潮新書 /2003年発行)

 いやあ、大ベストセラー。350万部以上ということで。印税計算しただけで鼻血が出そうです。しかも本人は文章書いてないし。口述で編集者に話した内容を編集者が文章に起こしたんだそうで。それだけ売れるってことは面白いんだろうと思い、今更だけど読んでみました。

 個々のエピソードはさすが年の功というか学者の功というか、なるほど面白いという感じなんだけど、全体的に何を言いたいのかが希薄。その意味で、「国家の品格」よりもわたしの満足度はさらに低い。バカの壁というのが結局何でどうしたいのかも分からなかった。「バカの壁」の意味に関しては、「人間同士なんだから話せば分かると思ってるがそれは大嘘だ、話しても分からないものだ」という主張だけが頭に残ったけど、結局みんなこれを言ってもらって嬉しかっただけなんじゃないかとか思いました。あとは思い付きをばらばらに喋っていて、編集者がショッキングな小見出しをつけましたという感じ。やだなあ、こういう中身がないの。養老さん自体はもっと突っ込んだことも話せるんだろうけど、話しても分かりっこないというバカの壁を感じたのか、表面だけの浅い子供だましの論だけで終わってしまってつまらなかった。

 昔は働かずに食っていくことを目標に社会を豊かにしようと目指したのに、いざ働かずに食っていけるホームレスが出てくると失業率が高くなったと騒いでるからおかしい、という主張がどうなのかなあと思った。働かずに食えると言ったって、ホームレスの人たちは、好きでゴミ箱の残飯を食べて冬の寒さに凍えて野宿したかったわけじゃないだろうに。あと、ニューロンの仕組みについても話してるけど全体の論とどう関係あるのか分からない。話を聞いた編集者も未消化だったのかなあ。話してる養老さん自体も「分からなければ飛ばしていい」とか言ってるし。どうせ難しいこと言っても分からないんだろうみたいな感じがひしひしと伝わってきますよ。でもその結果分かる本が誕生してベストセラーになったんだから、何だかがっかりしたな。もっと面白ければ、これがベストセラーになるなんて世の読者も捨てたもんじゃない!とわくわくできたのにな。




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