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国家の品格 /藤原正彦 (新潮新書 /2005年発行) 売れましたよね。 「私に言わせれば、小学校から英語を教えることは、日本を滅ぼす最も確実な方法です。」とか書いてあって、おいこら何言うとるんじゃおっさん、とか思って読み始めたんですけど。ちゃんと本を読んで分かったんですが、これ講演録なんですね。だから聴衆の意識を惹きつけるような過激な言い方をしてる。論理的に順を追って説明するんじゃなくて、まず過激な提案や意見から入る。んで、まあ、一冊まるまる読めば彼が何を言おうとしているのかちゃんと分かるんだけどね。 この次の読書の記録に書くけれど、同じ新潮新書で2002年に出て大ヒットした養老孟司の「バカの壁」も彼が喋ったのを文章化したものらしい。ヒットの秘訣は、そこですねと思いました。目を引くタイトルをつけるのはよくやってるけど、手に取ったら理解できなかったり専門家の面白くもない文章で眠たくなったり、知りたいのはそれじゃないのに延々と前口上を読まされたりするわけですけれど。口語だから読みやすい。養老さんのは次の記録に回すとして、この「国家の品格」は一般の人に分かりやすく興味を引くように喋っていて話上手で、読んでいて言いたいことがすんなり頭に入る。でもなんかまあ「おはなし」という感じで、自分の中の考察が深まるという感じではなかったなあ。週刊誌とかに連載してもいい感じで。だけども、新書になると読んでて賢くなった気がするから、ちょっとインテリしたい人に売れるわけでさ。新潮社さんめ、うまいなあとか思いました。 『「論理を徹底すれば物事が解決できる」という考え方は誤りである。』という主張は数学者らしい説明で面白かった。AならばB、BならばC、CならばD、だからAならばDという論理は、出発点のAが万人に共通の数学の定理のようなものなら正しいが、現実社会では出発点の選び方が人によって異なる。宗教や国や育った環境や立場や性格や情緒、全てが関係してくる。偏差値を上げるだけの勉強しかしていないとこの出発点Aの選び方が視野の狭い偏ったものになる。本を読み、無駄な知識をたくさん広げ、情緒を育むことが、本当の意味で底力のある人物を養うことになる。そんな内容。 本を読むこと、受験に関係ない教科を行うこと、利益にならない経験をすること、それらは無駄じゃないって言ってくれるのは心強い。まあこれ一冊鵜呑みにしてマンセーってなるのはどうかと思うけど、これはこれで面白いんじゃないかなと思いました。評価4なのは、面白かったけど物足りなかったから。 …って、amazon見て、うわっと思った。帯やりすぎ。「すべての日本人に誇りと自信を与える画期的日本論!」だって。ちょっと違うような気がしますけれどもなあ。 |