読書の記録

No.226 2007.6.11

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神田川デイズ /豊島ミホ

(角川書店 /2007年発行)



 いやあ、面白かったです。マンモス大学(おそらく早稲田が舞台?)の夜間部や文学部周辺を舞台に、いろんなタイプの大学生を主人公にして書いてるんだけど、その人たちの共通点は「痛々しい、いけてない、充実していない、浮いている」ということ。互いを慰めあって現実を見ずコタツに巣食う童貞三人組とか。田舎から出てきて、凛とした先輩に憧れて「不戦を訴える会」という何やら不穏な部活に入ってしまう女の子とか。星占い好きというキャラを売りに、慣れないナンパキャラを演じ、見事アイドル並のかわいい女の子を彼女にしたけれど、空回りし続ける男の子だとか。キャンパスライフの鬱憤を見事に表現しつつ、最後に大きな愛で包んだどんでん返しが待っている。、主人公が俺だろうが僕だろうがあたしだろうがわたしだろうが、全然不自然なことなく、描ききっておりました。痛々しさの描き方がものすごいうまい。自分を思い出して、ああああとなる。周りにいたよなあ、こんなやつみたいな。短編集なんだけど、ある短編で登場した脇役が別の短編で主役になったり、ある短編の主人公たちのその後が別の短編でうかがえたり。その辺のサービス精神が旺盛で、長編を読んだかのような満足感が得られた一冊でした。

 しかし文章がうまくなったなあ。デビューの頃の文章は、同じ年か若い女の子にしか受け入れられないんじゃないかなあという印象だったけど、これは違う。大学生を体験した20〜30代の人なら男女関係なくおすすめできる。描写も自然でうまい。小説への大きな愛を感じる。なんかもう脱帽でした。

 梅雨の季節で何かぱあっと心が晴れる楽しいことないかなあって人に、おすすめ。まあ難を言えば、そんなにみんなうまい具合にカップルになれるかい!ってとこだけども、まあまあ、そこはエンターテイメントということで。




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