読書の記録

No.215 2007.3.18

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つゆのあとさき /永井荷風

(岩波文庫 /1987年発行)



 永井荷風って気障だよねーと思って毛嫌いしてけど、ときどき読んだら面白い。短いし。彼の描く女性はさらっとしていて小悪魔的で魅力的。

 この物語は、昭和初期のカッフェーの女給さんの話。このカッフェーなるものは、喫茶店兼飲み屋みたいな感じで、女給さんは今でいうホステスさんみたいな感じ。客のテーブルについておしゃべりしたり客のおごりで一緒に酒を飲んだり。なじみの客がいたり。女給さんの帰りを待って送ってくれたり奢ってくれたりする客がいたりみたいな。

 主人公の君江は、次から次へと新しい男を連れ込み宿に連れ込むんだけども。いかにも無邪気で罪悪感もなく、自分が楽しいからいいじゃないという感じ。荷風の筆も爽やか。淡々と書いていく。放蕩に対する責めも非難もしない。説教もない。ある意味突き放したっぷりが凄まじいと思うんだけども。荷風じゃないと書けないなという気がする。説教臭くなく楽観的なのに、どこかしんみりする。それが荷風風なんだなと思う。

 カッフェーや連れ込み宿や芸者やらの当時の風俗が生き生きと描いてあって面白かった。このタイトルは、原稿を書き上げたのが梅雨の前後だったからだって。…おい!適当だな!


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つゆのあとさき

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