読書の記録

No.204 2007.1.19

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スピログラフ /鈴木清剛

(新潮社 /2003年発行)


 最近一押しの作家です。この人。若々しくて、登場人物が生き生きとしていて、読んでいてにやにやしたり、わくわくしたり、どきどきしたりさせてくれる小説を書くと思う。

 くされ縁が復活した女一人男二人は、週に一回夜中にボーリングに行くことにはまっている。このくされ縁は途切れたり復活したりを繰り返している。その中の一人、カンナは、「スポットに落ちた」と言って大学をやめてしまう。そして、弾けもしないアコーディオンの奏者になると言って路上で下手な演奏を聞かせたりする。奔放で感受性が強いカンナに翻弄されながらも、主人公の浩也は淡々と静かな生活を送っている。チェーンのカフェに社会人として勤め、ヨガのインストラクターの彼女と同棲している。いろいろな要素が無防備に配置されてあって、収束していない感じが結構わたしには好きだった。作為的すぎなくて。

 会話分だけで数ページも埋まっていく部分がいっぱいあって、しかもその会話の内容がかっこよくて、この人、現代日本のサリンジャーだわ、なんて思いました。

 読んでいて気持ちいい小説。等身大だからだろうか。いつまでもこの世界にいたい気がした。

 そういや、この人のタイトルはかっこいいけど、読み終わった後にぴんと来ないな。そんなに重要なアイテムだったかなあ、スピログラフって。なんとなーく分かるんだけど。なんとなーくは。前回レビューした「バンビの剥製」というタイトルは内容にもマッチしててよかったけどね。



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