読書の記録

No.183 2006.9.5

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江利子と絶対 /本谷有希子

(講談社 /2003年発行)


 いや、面白いよ。この人の小説。登場人物の突拍子のなさがいい。突拍子ないんだけど、どこか哀愁漂ったり、共感できたりする。突拍子なくて、いとしい。文章も勢いがあってでも落ち着いてる。エンターテイナーだなあという感じ。

 ずれた感性を持ち、時には間違った方向に激しい江利子。姉の家で引きこもりをしている彼女がある日犬を連れてきた。犬に絶対という名前をつけて飼うと言う。絶対江利子の味方という意味なんだそうだ。
/「江利子と絶対」

 生垣に潜んでいた女に家に押しかけられ、隣の家のスパイのために住みこまれる多田。ホラー映画の化物のような奇声を発する女。そんな女だが、女と縁がなく誰からも見向きもされない容姿をもった多田は彼女に惹かれていく。
/「生垣の女」

 人の庭に忍び込んで野球をしていた小学生三人が、うっかりボールを家の中に入れてしまう。ボールを取りに行くが、そこは殺人鬼の家だった。
/「暗狩」

 これは本谷さんの初期作品集なのですが、前回読んだ「ぜつぼう」(2006年発行)に比べて、無責任さが漂う感じがした。がんがん人が死ぬし…。残酷なディティールを後始末をつけることなく笑って終わりみたいな。後味悪い、って嫌がる人もいるかもしれないけど。でも、後味のいいことばかりじゃないしね、世の中。こっちの方が現実らしいよね。なんて思いました。

 わたし好きだなあ、この人の作品。いい、悪いとかじゃなく、好きだわー。おすすめできるかどうかは人にもよるけど。演劇好きなら読んでみてください。




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