読書の記録

No.181 2006.8.19

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太陽の塔 /森見登美彦

(新潮社 /2005年発行)


 京大農学部在学中に日本ファンタジー大賞を取ってデビューした人。京大生で理系でファンタジーかあ、変わってるなあと思ってた。京大生協の書籍部に「この生協も出てきます」と紹介されてるのを見て、ファンタジーなのに生協が出て来るってどういうことよ、と思い、さらにネットでこの本の概要がモテない京大生がストーカーする話と聞いて、いてもたってもいられずゲットしました。

 留年して5回生な上に研究室に居場所がなく休学中の主人公は、昔つきあっていた後輩の研究と称してストーカーまがいのことをしている非モテ京大生。同志の友人たちも同様に非モテ。クリスマスを呪い、鴨川に等間隔で並ぶカップルを呪い…と、稲中死ね死ね団の小説バージョンみたいな勢いですが。  全編に渡って、滑らかな口調で語られる、自虐に塗れた自己肯定論が面白い。語り口のテンションが高すぎず、低すぎず、寒くなく、ちょうどいい。

(引用)
 我々はクリスマスを呪い、聖ヴァレンタインを罵倒し、鴨川に等間隔に並ぶ男女を軽蔑し、祇園祭において浴衣姿でさんざめく男女たちの中に殴り込み、清水寺の紅葉に唾を吐き、とにかく浮かれる世間に挑戦し、京都の街を東奔西走、七転八倒の歳月を過ごした。真剣に戦っていたわりには、誰も我々の苦闘に気づかなかった。敵はあまりに巨大であり、我々の同志はあまりに少なかったのである。


 適度に“キャラ立ち”していて、彼らのやることなすこと面白い。ちなみに、めっちゃローカルな地名ばかり出てくるんだけども。もはやわたしの生活範囲そのまんまですけども。作者にばったり会ってみたいー。




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