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空中ブランコ /奥田英朗 (文藝春秋 /2004年発行) 子供のようにわがままで無邪気で悪戯心旺盛で注射を打つことが趣味な精神科医、伊良部。ナースは咥え煙草でミニスカートで無愛想で美人なマユミ。この病室をさまざまな職業の人間が訪れるというシリーズ。イン・ザ・プールに続いてシリーズ二作目がこれ。タイトルと装丁から、ミステリーかと思ってたら、ヒューマンコメディ? ギャグ? だった。 とにかく軽い。さっと読んでああ面白かったと言えなくもない。伊良部が面白く書けている。でも訪れる客たちは、典型的すぎて面白くない。やくざ、サーカスの団員、野球選手、大学病院の勤務医などの職業を素人から見るとこんな感じですという具合に描写してあるけど、何だかなあ。そんなに簡単じゃないでしょ、みたいな。神経症とかの治療も、「ああ自分が心を開いてなかったんだ」みたいな展開で治っていくけど、いやいやそんなに簡単じゃないでしょ、みたいな。それっぽい起承転結、ハッピーエンドもやりすぎ。作りすぎ。都合よすぎ。 この人は作品によって文体やら作風やらをがらりと変えるらしいので、この作品だけでは評価できないそうですが。これは軽いけど、他にぎっしり詰まった小説も書いているとか。まあ、だからこそなんだけど、この本は「こんな程度で読者は喜ぶだろう」みたいな思惑がむんむん出てて、何だか感じ悪いーと思いました。この程度で喜ぶなよ! 読者! ちなみにこの伊良部医師の名札には、「医学博士」と書いてあるそうだが、いつ博士号取ったんだろ。論文出したのかね。なんか医者になってから大学には寄り付いていないというような説明があったけどなあ。 はあ、これが直木賞かあ。 |