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ぜつぼう /本谷有希子 (講談社 /2006年発行) 芥川賞候補になって残念ながら落選した本谷有希子(もとやゆきこ)さん。1979年生まれということで同じ年だし、高校卒業後上京して劇団本谷有希子を旗揚げってかっこよすぎる…!!というわけで、もう経歴からきゅんきゅんなんですが読んでみました。ええ。まあ。小説は期待せずに。 そしたら面白かったよー!文章はうまくなくても目をつぶろうと思ってたら、文章もうまいよ。小説として丁寧な仕事しているよ。で、さすが演劇畑。舞台って人が動いてなんぼ、喋ってなんぼですが、それを手掛けてる人が書いた小説だから人の動きやキャラクターや地味なんだけどにやりとする事件が起こるところとか、退屈させない。人間がどこかほのぼのと奇妙で、それでいて人間くさい。 主人公戸越は、死ぬか生きるかの貧乏旅行でロシアに行き、ロシア人の鼻が本当に高いか測るという番組の企画で、帰国後大スターになり、でもブームとなったせいであっさりと飽きられ、世間から捨てられたお笑い芸人。なまじ顔が売れてしまっただけに、新しい仕事は来ない。引きこもり、単調な内職作業で頭を空っぽにすることだけが生きがい。そんな生活に絶望しているので毎晩不眠症に苦しんでいる。絶望は彼のアイデンティティであり、ちょっとうへへな事態が起こったとしても、俺は確かに絶望していると自分自身に言い聞かせ、ちゃんと不眠が訪れたら、ああやっぱり俺は絶望していると安心する。滑稽だけど何だか分かる。 ラストもちゃんとよかった。 読み終わって、あー面白かった!と満足できた一冊。 なんで彼女が芥川賞じゃないのさー。芥川賞なんてつまんねー。 |