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飛魂 /多和田葉子 (講談社 /1998年発行) むむむむ。これ読んで完全に惚れた。着いていきます師匠! 外国人部門でわたしの中での心の師匠は虹影だけど、日本人部門は多和田葉子さんに決定しました。ばばーん。男性作家で好きな人は他にもいろいろいるけどね。心の師匠はやっぱり女性作家がいいかと。 女虎使いと呼ばれる亀鏡の元へ多くの女が弟子入りに行く。女たちは閉じられたコミュニティーの中でお互い牽制しあいながら亀鏡を敬い、学問を成して行く。 虎というのは、実際の虎ではなく、物事の真理のような本質のような嘘のようなまがいもののようなものだとわたしは解釈した。…どんなだよ。一言で表せたら小説はいらん! 読んで下さい。まあこんな調子で、この物語では、比喩が現実の形を取って主人公たちに影響していく。言葉が形になるし、実際のものが比喩になる。概念に形を与え、無機物に意味を与える。綿密に注意深く書かれているからこそ成せる芸当だと思った。 見たことのない世界観を作り出している。不思議だ。でもそれがまるで見てきたかのように書かれている。着実な言葉で作り上げられる別の世界。 「」で括り出される会話文はほとんどなくて、主人公の一人語りなんだけど、単調にならず次々読ませていく。ストーリーというストーリーはないんだけど、読み終わったときに、満足した。納得した。ううん、レビュー出来ないんですけど! 言葉をイメージを一つ一つ丁寧に丁寧に重ねていくとこんなすごいことが出来るんだ、と思った一冊。 この人の書く主人公はいいな。わたしの肌にすごく合う。 |