|
三人関係 /多和田葉子 (講談社 /1992年発行) 多和田葉子さん。名前は知ってる。結構重鎮の実力派女流作家みたいなイメージで。まあなんとなく林真里子とかあんな感じ?とすんごい勝手な適当な分類をしていましたが、読んでみてびっくり。この人、すごいよ。すごい文学だよ。女カフカだよ…。ぽかーん。 この本に収録されてる「かかとをなくして」という作品で、1991年群像新人賞でデビュー。 こわーーー。これがデビュー作かよ。こわーーいーー。 こんな人が日本にいたなんて知らなかったよ…。いや、日本にいないのか。ドイツに住んでるのか。ドイツ語でも小説書いてるらしいじゃん。こわーーーー。 てかもう経歴やばいです。やばいよ!あっちで博士号お取りになってるよ! これを受賞させたのは、群像らしいなあという感じでした。はい。まあもう10年も前だけども。で、今は多和田さんは選考委員の一人です。ううん、読んでもらいたいなあ。群像挑戦してみようかなあ。 結婚するために知らない町に来た主人公は、かかとをなくしてしまったので子供たちに笑われたり人々に後ろ指さされたりする。嫁入りするはずの家では旦那になる人は絶対に顔を見せないが、ちゃんといる証拠に毎日枕元にお小遣いが置いてある。学校に行って訳の分からない問答をしたり、ふらふらと町を歩いたり、そんな生活を送る主人公。どこか奇妙なんだけど、でもすごくしっかりと書きこまれているせいで、その世界にがっしりと掴まれて出ることができない。あり得ないけどあり得るような、人間の顔がないような、それでいてどこか生々しいような、で、あくまで一人の視点から書いた見通しの悪く不安な視界、そんな世界がカフカを想起させた。 二作目は表題作の「三人関係」。三角関係ではなく三人関係。下手な人が書くと、不思議ちゃんの話なんだけど、この人の描く人間はじっとりと影があって、それでいて浮遊していて、目が離せない。 前回レビューしたのを引き合いに出すのはいやらしいけれど。同じような意味不明の会話をしていても、こちらはちゃんとそれが生まれた元がある。命が入ってると感じた。頭で考え出しただけじゃなく、必然的に生まれた意味不明さという感じがした。本物だと思えたから面白かったです。もっと読んでみなきゃ。 |