読書の記録

No.165 2006.7.2

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陰翳礼讃 /谷崎潤一郎

(中公文庫 /1975年発行)


 エッセイ集。陰を情緒的に組み込んだ日本の文化が廃れてきていることを嘆いている「陰翳礼讃」は、教科書か試験問題で一部を読んだことがあった。そのとき以来、漆塗りの椀のよさを描写した文章が頭に残りつづけていた。エッセイと言っても、ただの老人の昔はよかったという嘆きではなく、彼のその筆力で「陰翳」を「礼讃」しているのだから説得力がある。思わず、わたしも漆塗りの椀が欲しくなったけど、でもこんな適当な現代住まいにそこだけ真似してもしょうがないんだろうなあと思って諦めた。そういうのはこだわりのお店で味わえばいいんだろう。
 西洋と東洋の違いも、我々の肌の色、性質など細かい分析によって論じてある。なるほどこういう見方があったんだなあと思わせられるエッセイ。面白かった。

 他に「懶惰の説」「恋愛及び色情」「客ぎらい」「旅のいろいろ」「厠のいろいろ」が収められている。  



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