読書の記録

No.161 2006.6.6

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パスカルの恋 /駒井れん

(朝日新聞社 /2006年発行)


 第14回朝日新人賞受賞作です。新人賞受賞作を読むとき、悔しさと負け惜しみもこめて、いつもなら「はんっ、こんなものが新人賞取ったのかよ」という意地悪な新人いじめの目で読んでしまいますが、最近はもっと謙虚になろうと反省したので、この作品の良いところを噛み締めつつ読んでみました。

 文章がぽつんぽつんとしていて、余韻がなかなか。児童文学で既に賞とか取っているという経歴で納得。言葉の選び方が丁寧で、心地がいい。梨木香歩とか、川上弘美とかそんな感じの雰囲気。藤沢さんという大学の研究者が毎日仕事帰りに通ってくるのを待っている主人公。淡い恋の物語。いいじゃんいいじゃん。と、思いつつ読み進めましたが、残念なことにこの登場人物たちは喋った途端に雰囲気を壊しまくってしまうのでした…。黙っていればいい雰囲気なのになあ。説教くさい、うんちくを振り回す女友達の香苗、それをいちいち感心して香苗の言うことは正しい正しいと何度も思う主人公うざいなあ。そして、物静かで几帳面な藤沢さんでさえ!喋った途端に台無し。そして、なかなか素敵な内向的な主人公は、喋った途端に甘ったれ娘になってしまう。…うわ、悪意に満ちた感想!!!


 でも、会話文と登場人物の未熟さ、以外はなかなかよかったと思います。フォローになってるかなあ。なってないよなあ。ほら、見て!星野智幸より★多いから!何だか惜しいという感じでした。今後の成長を楽しみにしています。雰囲気はとても好きなので、もっと人間というものと小説というものに真摯に向き合って欲しい。わたし何者だよ。はあ、謙虚ってどこへ行けば買えるんでしょうか…。




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