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飢餓の娘 /虹影 (集英社 /2004年発行) 虹影二冊目。ものすんごいよかった。大好き。 わたしは今まで、これぞという女性作家に出会ったことがなかった。それは女性作家のレベルが低いとかそういうわけじゃなく、わたし自身が女性だから、女性作家の作品に対しては「共感できるかできないか」という妙なフィルターが入ってしまうからだと思う。男性作家の場合は、そうか男ってそんなものかと最初から思いながら読むけれど、女性作家の場合はやっぱり距離が近くなってしまう。だから、いい作品でもちょっとそんなふうには思えないなあとか、この主人公人生なめすぎだよなあとか、そこまでセックスしたいかよとか、そういう感情が邪魔して「好き」とか「嫌い」とかいう判断が出て来てしまう。同性同士ってそんなもんだよね。と、一般化してみたり。 その中で、虹影は心から共感できる女性像を描く作家だ。現実に翻弄されつつ、その中でも自分を失わず、時には流され、女性らしい弱さを持つ主人公。確固たる技術で文章や物語を積み重ねながら、鮮やかな芸術的感性も溢れ出しているそんな小説を書く作家。感性や技術、どちらかに突出した女性作家はいるけれど、両方がうまく融合した作家というのはなかなかいない。もっと読みたいのに、日本語版の長編の翻訳は今のところ二冊しかないのが残念。 主人公「六六」は、七人兄弟の末っ子。貧しい家庭。個性豊かな姉や兄たち。複雑な人間関係。閉鎖的な田舎の社会。波乱の中国。その中で多感な少女時代を過ごす六六の様子が切実な筆で描かれている。大飢饉のときに母の腹にいたせいで、彼女は常に飢餓を感じている。食べても食べても物足りない。愛情も食欲も満たされない。兄弟たちは飢饉のときに赤ん坊のくせに人一倍栄養を与えられた六六への恨みを忘れない。 自伝的なこの作品。わたしは、飢餓も不幸な家族関係も貧困も孤独も体験したことないのに、この主人公と一体になって一気に読んでしまった。こんなに不幸な状況よりはましだから頑張ろうなんて思うのは違うけれど、今の自分から少しだけ離れて別の厳しい人生を生きる体験は、今の自分に何かを付け加えてくれる気がする。 訳:関根謙 虹影のブログ発見!中国語だけども。なんとなく漢字で意味は分かるかも。美しいなあ。虹影。素敵だなあ。 わたしも世界で翻訳されるようになったら、写真いっぱい載せたブログでも作ろうっと!!(妄想中)(英語でサイト作ろうとかじゃないのかよ…) from amazon |