ゴヂラ /高橋源一郎
(新潮社 /2001年発行)
でたらめっぷりが快感な一冊。頭がおかしいんじゃないかなと思わせるような主人公が出てくるが、実はその主人公が考えていることが真実であるという展開が面白い。小説ならではなんじゃないかと思う。日本中を清掃して回る男や、情けない悪の組織、夏目漱石や森鴎外も出てくるし、ぬいぐるみが喋ったりもする。短編集だが世界はつながっている。
途中、作者が登場する。ゴヂラとタイトルをつけたにも拘わらず、まったくゴヂラは出て来ないし、ストーリーはめちゃめちゃだし、登場人物はばらばらだし、一体どうなることか検討がつかないけど、でもうまくいくはずだと語り始める。頭で全部分かっていることを書いても面白くない、というのがこの作者の主義だと思うし、わたしもそう思う。かといって、全く分からないものを書き始めて分からないまま終わっては、ストーリーのカタルシスがない。ただのでたらめだ。必要なのは、分からないものにとりかかるという野心と分からないものから小説を書くことで何かを生み出す実力。この作者には両方がある。安心して最後まで読んで下さい。
初出誌「波」1996年1月号から12月号まで。
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