読書の記録

No.151 2006.4.16

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裏切りの夏 /虹影

(青山出版社 /1997年発行)


 虹影で「ホン・イン」と読みます。中国人の女流作家。学生時代の天安門事件体験を元に描かれた本作は、台湾で発行され、中国本土では発禁処分を受けたが、ひそかに読み継がれ、陰のベストセラーになったのそうだ。

 天安門事件を取り扱っているが、政治的な内容に焦点を置くのではなく、この事件によって一人の女子大生の生き様が鮮やかに浮き彫りにしている。詩人である芸術大学の女子大生、林影(リンイン)が生々しく魅力的に描かれていた。彼女の周りを取り巻くさまざまな芸術学生たちも魅力的だった。貧困、政治的、思想的に抑圧されつづける林影は、最終的には血を流す革命とは別の方法で自己を解放してみせる。

 半自伝的なこの作品。作者自身も詩人である。小説を書いたのは初めてだというが、トラウマになるような圧倒的な事件と、作者の詩人としての感性が見事に融合して、心の底まで揺さぶられる作品になっている。こんなに共感できる主人公は初めてだった。

 すばる文学カフェにこの作家さんの特集見つけたよ。お姿も美しい…凛々しい…。ちょっとファンになった!!

 ★10個。最高点出します。

訳・浅見淳子



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