読書の記録

No.145 2006.2.23

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海を見たことがなかった少年 モンドほか子供たちの物語 /ル・クレジオ

(集英社文庫 /1995年発行)


 人を和ませたり自然と一体になって生きたりする、逞しくどこか超自然的なな少年少女の物語8編。自然描写がいい。特に何が起こるというわけではないが、すばらしい自然を目前にしたときように、心が洗われる短編集だった。

(抜粋)
 とりわけきれいなのは、その家を包んでいる光だった。モンドが即座に「金色の光の家」という名をつけたのも、そのせいだった。午後の終わりの日光は、とてもやわらかで落ち着いた色、秋の葉か砂のように暖かく、人を浸し、人を酔わせる色をしていた。砂利道をゆっくり前に進むあいだ、モンドは顔を愛撫するその光を感じた。彼は眠りたい気がし、心臓の鼓動がスローモーションになった。ほとんど呼吸もしていなかった。
(「モンド」より)


 魅力的な少年少女が、人々と触れ合っていく、どこか寓話的な神話的な話なのだが、白々しくなく、本当に読んでいて笑みがこぼれるような物語ばかりだった。



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