読書の記録

No.133 2005.12.24

←back 


イッツ・オンリー・トーク /絲山秋子

(文藝春秋 /2004年発行)


 絲山秋子ようやく読んだ。ようやくというのは、ちらほら名前を聞いて気になってはいたものの、今まで名字の読み方が分からず捜せなかったからである。えっへん。いとやまさんね。
 文学界新人賞でデビューして、ときどき芥川賞候補になる人。この単行本の表題作は新人賞取った作品。うまいねー。そつがないねー。ほどよく毒も効いているところすらそつがない。こんな新人つまらないっすよー。ときには、顔を手で覆ってあちゃーって言いたくなるような恥ずかしいでこぼこ感があってこそ、今後が楽しみなんじゃないか。などと文句をつけつつ。うまくて面白くていやみがなくてでもなさすぎることはなくて、人間の書き方が好ましくて。平たく言えば面白かったということだ。(最初から素直に言えって)このまま山本文緒とか角田光代さん系統に進んで行くのなら問題ないだろうな。もう一皮向けて川上弘美系統に行くのも面白いだろうな。まあ、今の段階では何とも。とりあえず面白いうまい好ましいの三拍子。好きな作家に成長してくれるといいな。
 文学界は優等生なやつを選んでくるよね。優等生のと変わったやつと抱合せな感じで。

 表題作と「第七障害」の二作収録。どちらもドラマティックなストーリー展開があるわけではなく、人間同士の微妙な関係性が少しだけ変化するその様子を楽しむ話。派手な演出はないけれど、人間の描き方がとても垢抜けていて、彼らの会話を聞いたり様子を見ているだけで楽しい。さらさらと読めつつ、ちょっとだけ気になるものが残る作品。他のも読んでみようっと。


from amazon

 ←back    menu