白痴 /ドストエフスキー
(新潮文庫 /昭和45年発行)
ドストエフスキーおもしれー!!!罪と罰に続いて二作目ですが。またしても一気に読んでしまいました。はまった。
ドストエフスキーの作品って、いろんな人がレビューやら解説やら書いてるけど、読み終わってみるとどれもピンとこないな。違うよーって思う。でもそれがドストエフスキーの力なんだと思う。人間を実物以上に人間らしく書く作家だと思う。だから、典型的という見方も出来るし、ある部分をすごく深く掘り下げて見ることもできる。自分にだけ響く部分を見つけることもできるだろうし、万人に共通する法則を見出すこともできるんだと思う。きっとわたしが書いたこのレビューだって、作品を自分で読み終わってから見たら「違う」って思うことだろう。ぜひ、自分で読んでみてほしい作品。
白痴のメインテーマは恋愛だ(と、わたしは思う)。
誠実で頭もよく思いやりもある立派な青年である主人公ムイシュキン公爵は、世間の常識からかけ離れた純朴さを持ち、かつて病気で精神の朦朧とした状態になっていたことから、「白痴」として扱われる。しかし、その純粋さと立派な態度が、周囲の人を魅了していく。
彼に惚れるアグラーヤ。わがままでプライドが高く、度が過ぎるほどの恥ずかしがり屋で激しい気性。彼女は「白痴」の青年を愛していることを自分で認めたがらず、ちぐはぐな行動を取り周囲を振り回す。
不幸な身の上のせいで自分を汚れていると信じ、主人公を愛しているのに自分と一緒になると相手が不幸になると考え、主人公を捨てるが、制御できない感情に翻弄される絶世の美女ナスターシャ。 自分を愛していないと知りつつもナスターシャのためなら何をすることも恐れず一心にナスターシャを愛し続ける粗暴なロゴージン。
アグラーヤに惹かれながらも、自分の身を不幸の底に落とそう落とそうとしてしまうナスターシャを放っておくことができないムイシュキン。
感情と感情が激しくぶつかり合う。全員クレイジーだ。こんな人たちが普通の社会にいたら、全員病院行きだろう。彼らは社会に適応することなんて考えていない。この物語の登場人物たちは、制御の効かない荒々しい野生の魂を持っている。それが、読んでいてすがすがしい。枠にはめられ飼いならされたわたしの魂を解放してくれる。それが物語の力だと思う。
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